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ボスの部屋

2009年09月03日

カテゴリ:ボスの部屋

 

懲りずに今回も

横山宏章

お久しぶりです、ボスの横山です。

またしても書きこみが空いてしまっていました。今回のテーマは「懲りもせず今回も」です。それは、今回も長期優良住宅先導的モデル事業に提案申請書を出したからです。今まで3回の公募が有りました。私たちも第2回目に応募しましたが採択されませんでした。新築部門での採択率7%の狭き門なのです、それを今回も懲りずに再度の挑戦です。ですから「懲りずに今回も」がタイトルなのです。。

具体的にこの先導的モデル事業が何かというと、

「少なくとも3世代住み続けられる家づくりと、維持管理のシステム作りに向けた業界を導くモデルケースを公募し、これを国が採択して、そのためにかかった建築費用の増額分の一部(上限200万円)までを国が補助する。」

というものです。国から出る補助金の中では破格なものでその意義の大きさを表しています。詳しくは公募の評価機関である独立行政法人建築研究所のホームページ(http://www.kenken.go.jp/chouki/index.html)をご覧ください。

そのうえ、今回は長期優良住宅の普及の促進に関する法律が6月4日に施行され、採択基準が明確になって初めての公募で、耐震性・耐久性・メンテナンス性・断熱性の4項目の採択基準が決定し、より一層狭き門となりました。だからこそ挑戦する価値があります。

私達の提案は、「土塗り壁の長期優良住宅化」です。確かに、今多くの土壁造りの住宅がありますが、これらのほとんどが今の長期優良住宅の認定基準からすると不適格な建物になってしまい、国が求める住宅のあり方に沿っていくこと、つまり、土塗り壁の伝統工法の長期優良住宅化こそがこの伝統工法を継承していける唯一の道だと考えています。

私は以前、住宅の性能評価について10年かかってやっと性能評価を受けられるようになったと書きました。今回のこの先導的モデルはその延長線上にあるものなのでこれまでと同様にあきらめずにやり続けたいと思っています。ではなぜ、これほどまでにこだわり続けてきたかを少し書きます。

私にはこのこだわりに対して常に背中を押してくれている2つの言葉があります。

ひとつは雑誌で目にした阪神大震災で住宅の倒壊で家族を亡くした方の「住宅が私達の家族の命を奪った凶器になった事を忘れない欲しい。」という言葉です。この言葉が心に焼き付いてそれで住宅の耐震化に取り掛かりました。それがちょうど10数年前だったのです。

そしてもう一つが、私が建設省(今の国土交通省)が開いた公聴会に出席した折、当時の住宅生産課の課長の、「この法律は、色々なところから圧力もある障害が多く成立に向けて大変だが、私はこの法律は火だるまになってでも成立させる」と言われた一言です。まさにTBSのドラマで放映されている「官僚たちの夏」を彷彿させる一言で今でも心に焼き付いています。

当時の私は、耐震性の高い住宅づくりを目指して自社で耐力壁を開発し、評価機関で耐力試験を受けているとときでした。その時、評価機関の責任者の方から「現行の建築基準法では認められないものだからこの試験をしても意味がない。」と言われ、その試験成績書には公的な意味をなさない「自社の技術資料とする」というものでしたでした。

そんな中、住宅の品質確保促進に関する法律について、建設省のホームページの意見公募(パブリックコメント)に意見を出したところ、公聴会に出席しないかという事になり、東京まで出かけて意見を言わせてもらいました。その後、建築基準法が改正され、仕様規定(決められたものしか認めない}という内容から性能規定(性能が実証されていれば認めていく)というように変わり、翌年再度、受けた耐力試験では「構造計算の技術資料とする」という公的に構造計算として使えるという試験成績書になりました。これで私達の開発した耐力壁を建築の現場に使っていける道筋が立ちました。

それ以来、私は公聴会開催当時の住宅生産課の課長の気持ちに応えるためにもぜひ性能表示をしていきたいと取り組み続けてきたのです。

そこで、なぜ土塗り壁工法にこだわるかというと、その工法が長年やり続けられてきた年月の長さです。以前、奥尻島の津波災害の折、昔からアイヌの人たちは、そのあたりにけ決して集落を設けなかったという話をきいたことがあります。これは先祖代々から「このあたりには昔、津波がきた」という知恵が受け継がれてきたからなのでしょう。今の私たちは各家族化して、年長者から先人たちの知恵を聞けなくなってきています。こういう時だからこそ、住宅づくりだけでも先人たちの知恵に耳を傾けた住まいづくりをしていくべきだと考えています、それが土塗り壁工法なのです。土塗り壁には少なくても数百年の歴史があり、そこには私たちが知る知識をはるかに越える先人たちの知恵の集積があるからです。

 しかし、これまでの土塗り壁のままでは、いま国が求める長期優良住宅にはなりません。今後この長期優良住宅が市民権を得て、それ自体が家づくりの中で当然とされるようになるのは間近だと感じています。そうしたとき、土塗り壁工法は建築業界から取り残されてしまいます。だからと言って、法律が悪いなどど文句をいったり諦めて何もしないことは筋違いだと私は思います。この長期優良住宅の普及の促進に関する法律は素晴らしい法律です。だからこそ、自分たちで工夫することでこの法律の趣旨にあった家づくりができるように私たちも変革していく必要があると思います。それを今回のモデル事業として提案しました。また結果が出たらお知らせしますね。


 

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