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2009年10月10日
カテゴリ:ボスの部屋
横山宏章
ボスの横山です。
このところ、私の書き込みに土塗り壁という単語がよく出てきます。実際この土塗り壁工法とはどんなものかご存知ですか?「あまり見かけないのでよく分からない」という方のために、この土塗り壁工法についてお話ししてみようと思います。
土塗り壁工法とは、柱と柱の間に土を塗りつけるために左の写真のように、竹を使って縦・横に編みます、これを竹小舞を組むと言います。そのあとに、右写真のように藁を練り込んだ土を塗って壁を作っていく工法を言います。

下の写真が土塗り壁の完了写真です。

では、なぜこのような作業効率が悪く、乾燥する間余分に工期もかかる工法が長い間受け継がれてきたのでしょうか?それをこれから考えてみます。
まず
1.家全体を弾力性のある壁で覆い、地震や台風の時に倒壊しにくい家にする。
これは、竹で壁下地を組むことで竹の弾力性が活かされ大きな地震の時に大きく変形したとしても倒壊をまぬがれる働きはあると思います。また、耐力壁として地震など自然災害に建物の変形を抑える働きがあります。
2.土がもつ調湿作用で住宅を長持ちさせる。
土は、周囲の湿度が高い時に水分を吸収し、周りが乾燥している時に水分を吐き出す調湿作用があります。住宅の性能表示の、断熱性能の最高等級4を取得するとき、室内と外の温度差が大きくなるため壁内の結露対策が必要となってきます。それを怠ると壁内に結露が発生し、その結露が家を腐らせてしまいます。
ですから吸湿性の高いグラスウールやセルロースファイバー・ロックウールなど繊維系の断熱材を使用する時は、室内の湿気が壁に侵入し結露が起きないように部屋内側にビニールシートを張り巡らすといった防湿層を設けなければなりません。
しかし、調湿作用がある土塗り壁の場合は、外壁側に断熱材を設ける場合は室内から侵入した湿気を調湿してくれるため、この防湿層を設けなくても良いと定めたれています。私はこの1年間で7件の性能評価を受けてきましたが、この制度はこういった伝統工法にもきちんと検証し配慮されており、本当によく出来ている制度だと感服されられました。
3.土壁自体の断熱性能
土壁は温まり難く冷めにくい性質(熱容量が高い)性質があります。これをうまく利用した建築物に火災が起きた時に家財を守る土蔵があります。昔しから土壁の家は夏過ごしやすいといわれてきました。しかしながら、冬は隙間風があり底冷えするいうことを耳にします。そこで、構造に乾燥した木材を使うことで変形をなくし、下の写真のように最新の高性能な断熱材を土壁の外側に入れ気密テープで隙間をなくします。

またこれによって、壁内部の結露を抑え、熱容量の高い土壁の外側に断熱層を設けることで、より夏場の暑さしのぎ、紫外線カットの低放射複層ガラスをはめ込んだ断熱性能では最高レベルのアルミと樹脂の複合サッシを使うこにより、熱損失係数(家全体の熱の逃げる量を床面積で割った数値)が2.7W/㎡Kを下回る断熱計画をすることで、性能評価の最高レベルの冬も暖かな住まいづくりができます。
こうやって、書き上げていくと良いことばかりのように見えますが、デメリットも理解した上で土壁造りを検討すべきです。デメリットとしては
1.余分な工程が含まれているために、コストアップになる。
竹を組み土を塗る作業に手間暇がかかり、その分建築費がかさんできます。
2.工期が延びる。
手間暇をかける分、時間がかかり土がある程度乾くまでも時間がかかります。
3.一番気をつけたいのが土塗り壁の重量です。
重量が重いということは、地震の時、非常に危険です。建築基準法施工令84条では、構造計算をする時の基準となる重量が、一般の木造の場合は150N/㎡としているのに対して、小舞壁(土塗り壁)の場合は、830N/㎡と定められています。土塗り壁は一般的な土壁を使わない壁の5.5倍の重量があることになります。
地震の時はこの重量に地面が動く速度を掛けた力が働きます。これは昔、物理の時間で力=重量×速度という公式を習った事を思い出しますね。例えば、軽いソフトボールを壁に当てても、壁は壊れませんが、大体同じ大きさの重量の重いハンマー投げのボールをソフトボールと同じ速度で壁に当てた時その壁は壊れてしまうでしょう。そこからイメージして、重量の重い土塗り壁にはどれほど大きな力が架かるかを想像してみてください。
しかし、一般に木造の構造設計で行われてういる壁量計算では、建築基準法施工令46条で定められているように、土蔵等の壁が重い家は軽い家に比べて1階については1.14倍、2階については1.4倍の壁量の増量しかしか必要とされていません。壁の重量が5.5倍もなるので大丈夫かを思えてきますね。
一方、私たちが行っている許容応力度計算法では、壁の面積に施工令84条で決められた壁の重量を掛けて地震時の力を割り出して安全を確認します。このときどちらが安心できるか一目瞭然ですね。
住まいは、そこに住む方の生命と財産を守るという使命を持っています。ですから、私たちはどれだけ安全側に立って設計するかが大事だと考えています。
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